2009年7月14日火曜日

アイドル電流

 元真空管の載っていたアンプをまともなトランジスタアンプにする作戦が意地としか言いようのない状態で続いています。近視に老眼が進みよく見えない目で頑張って出力近辺の回路を調べ上げました。
 調べれば調べるほど、意図の分からない回路で、なおかつ基本的な対応ができていないようなところが目に付きます。
  クロスオーバーひずみの原因となっていた出力段のバイアス電圧は回路の抵抗値は見ただけでも嘘だろうと言いたくなる値で、どうしてこんな設計をしたのだ ろうと疑問を持ちます。出力段の温度を補正する回路になっているのですが、構造上、熱的にはほとんど監視できないようなところに配置してある気楽なパター ン設計です。
 このアンプにはファンが付いていて必要なときに回転して熱を逃がすようになっていますが、放熱板の温度を見ている様子はなく、ただ出力段に流れる電流を見ているだけのようです。
  そもそも今時準コンプリメンタリーという時代がかった回路を使うことからして不思議ですが、設計に当たってどこかの古い資料を参考にしながら作り上げた のかもしれません。バイアスのかけ方もあまり気にせず、音が出て安定して動けばOKと判断し、その分外観には十分気合を入れて磨いたような感じです。
 バイアス回路を見つけてどのくらいアイドル電流を流しておくべきか、手持ちの部品を見ながら探っていきました。
  多めに流してAクラスアンプもどきにすれば少しはいい音が楽しめるかとも考えましたが100mA~150mAの電流にして、いざ動かし始めるとドンドン 熱くなり不安になってきます。特に熱の対策が十分でないのは分かりましたから、少なめにするしかないだろうと手持ちの抵抗を探し微調整を行い10mA程度 にすることにしました。
 音がどのように変わるか期待してスピーカーへ接続しました。今までバイアスが少なく、小さな音はカットされていた部分があったようで、小信号が聞こえないため静かなアンプだと感心していたようです。
 今度は何か騒がしいアンプになったような雰囲気です。よく言えば情報量が増えたというのかもしれませんが、もともと繊細さに欠けるところがあり、出てくる音が多くなると特性のアラが見えてくるのかもしれません。
 オシロで波形を見ていると安定したきれいな波形が出ているのですが、諸手を挙げて喜べない不思議な世界です。
 本当に面倒な世界へ入り込んだものです。

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